新型コロナウイルスの検査について
ウイルスはたんぱく質の外殻と内部に遺伝子(DNAやRNA)を持っただけの単純な構造で、他の生物の細胞内でしか増殖することが出来ません。ウイルスに感染した細胞はウイルスが増殖して多量のウイルスが細胞の外に出てくるときに死滅します。人間などの体の中で増殖しながら人間の細胞を破壊していきます。細胞の破壊の程度により重症度が決まります。
新型コロナウイルスに感染していているか調べる検査はPCR法があります。PCR法とは、ウイルスの遺伝子の特徴的な一部を増幅して検査するもので、精度がよく検査が出来ます。検査には数時間から1日ほど時間がかかります。
新型コロナウイルスの量が多い場合はウイルスのたんぱく質を調べる抗原検査という方法があります。増幅しないのでPCR法より感度は低いですが、数(十)分で結果が出るので病院やクリニックなどで使用されています。
これらのPCR検査や抗原検査とともに症状を踏まえ、胸部レントゲン検査やCT検査などを実施して、新型コロナウイルス感染症の診断を行っています。
一方、抗体とは、ウイルスが体内に入ってきた時にウイルスを体内から排除しようと身体が作り出すタンパク質です。抗体がウイルスに結合することでウイルスを排除します。
新型コロナウイルスに感染してから1~3週間ほどで抗体が作られます。新型コロナワクチンを接種しても抗体が作られます。この抗体を検査すれば過去に感染したのかどうか調べることが出来ます。
当所も協力した、厚労省の全国の抗体保有率の調査では、2020年6月に実施された第1回抗体保有調査は、東京都0.1%、大阪府0.17%、宮城県0.03%。2020年12月の第2回調査では、東京都1.35%、大阪府0.69%、宮城県0.14%、愛知県0.71%、福岡県0.42%でした。諸外国に比し、地域差があるものの、日本では免疫防護機能のある抗体が保有されていないことが確認されております。
新型コロナウイルスは感染力が強く、また感染すると重症化しやすいです。しかし、このウイルスは消毒用アルコールで簡単に壊れて感染力を失います。マスクと手指消毒を行い、感染防止を徹底すること、ワクチン接種をして免疫をつけることで、新型コロナウイルス感染を防止しましょう。
臨床検査科