[ピンクリボン]マンモグラフィ検診の有効性について
日本人女性がかかるがんの中で最も多いのは乳がんです。
年間約9万人の女性が乳がんの診断を受けていて、年々増加傾向にあります。
現在、日本人女性の9人に1人が乳がんにかかると言われています。
年代別にみると、乳がんの罹患率(病気にかかる割合)は30代後半から急激に増え始め、40代後半から
60代後半にピークとなります。
このように、乳がんは女性が家庭や社会で活躍する年代に多いがんと言えます。
また20代でも全くかからないというわけではありません。
特に遺伝性の乳がんは若くても発症することが知られています。
罹患数では1位の乳がんですが、死亡数では4位と意外と低いです。(図1)
つまり、乳がんを克服し生活をしている人が多いということです。
この大きな要因が「早期発見」にあります。
図1.女性の部位別がん年間罹患数・年間死亡数(人) 「がんの統計2023」より
乳がんは早期発見によって90%以上の人が治癒すると言われています。
乳がんによる死亡者数が少ないのは、早期発見してがんが小さいうちから治療をはじめることで、命に影響を及ぼさずに済んでいるからなのです。
つまり、乳がんに対して早期発見・早期治療が最も有効であると言えます。
乳がんの進行度は、しこりの大きさやリンパ節転移の有無などにより0期からⅣ期まで、
大きく5つの病期(ステージ)で分けられています。
0期~Ⅰ期の乳がんを早期乳がんといい、マンモグラフィ検査で発見されることが多いとされています。
図2. 乳がん病期別生存率(%) 「がんの統計2023」より
早期発見した場合と、乳がんが進行した状態で見つかった場合を比較してみると、治療や予後に以下のような差があります。
厚生労働省が提供している「令和2年度地域保健・健康増進事業報告の概況」によると、要精密検査者数に対するがん罹患者数の割合は、肺がん1.93%、胃がん1.83%、大腸がん2.79%、子宮頸がん1.01%、そして乳がんは4.70%でした。
このことから、乳がん検診はがんが発見される割合が高い検診であると言えます。
乳がんは早期発見によって90%以上が治癒しますが、早期の乳がんには自覚症状がなく、触っても
分からないことがほとんどです。
触って分かるしこりは約2cmと言われています。
そのため、発見方法としてマンモグラフィによる画像診断が有効とされており、自覚症状がないうちの定期的な検診が重要なのです。
マンモグラフィ検診の受診率を他国と比較すると、アメリカ76.5%、オランダ77.1%、フランス70.0%、
韓国65.9%であるのに対し、日本の受診率は2022年で47.4%と低い水準です。
厚生労働省はマンモグラフィによる検診を、40歳を過ぎたら2年に1回行うよう推奨しています。
(マンモグラフィ検査については、以前ブログで紹介しております。詳しくはそちらをご覧ください。)
マンモグラフィ検査を受けて、ご自身で気付かない病気がないか調べてみてはいかがでしょうか。
放射線科