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2023年 04月 03日 BLOG

健診(検診)は「有要有益」

新型コロナウイルス感染症と健診(検診)

2020年春の緊急事態宣言から3年が経過しました。2023年4月時点までに8回のピークを繰り返し、私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしました。その間の感染者数は日本では3,300万人で、国民の 四人に一人が感染したことになり、死亡者数は74,000人にも達しています。

新型コロナウイルス感染症の予防が強調され、三密を避けるためのいろいろな工夫がなされました。その一つに健診(検診)控えがあります。

注)健診:健康状態を確認し、病気を予防する目的で行う。「健康診断」「特定健診」等。

    検診:特定の病気を発見し、早期治療を目的とする。「がん検診」が代表的。

 

健診(検診)控えの影響

特に問題なのはがん検診に対する影響です。がんはコロナウイルス感染とは関係なく発症するからです。

日本対がん協会の調査では、受診者数はコロナ前の2019年に比べ2020年では27.4%減、 2021年は回復したものの10.3%減で、コロナ前に戻ってはいません。ちなみに、当センターでは、胃がんの内視鏡検診、大腸がん検診はコロナ前より増加し、胃透視検診、乳がん検診は減少していました。

また、当センターにとって重要な結核検診では、結核患者の発見率が低下していました。発症から初診まで二ヶ月以上を要した患者の割合が、2019年の34.4%から2021年では 38.9%と上昇していました。

コロナ禍による5大がんの検診率の減少

がんの種類

対2019年比(%)

2020年

2021年

胃がん

-32.1

-13.7

肺がん

-29.9

-11.0

大腸がん

-23.3

-9.0

乳がん

-27.2

-9.9

子宮がん

-23.6

-8.0

日本対がん協会HPより 一部改変

 

治療が必要な人が放置されている

がんや結核の早期発見ができず、治療の遅れが懸念されます。定期的な健診(検診)でがんなどの病気が発見され、早期治療していれば悪化が防げた例も少なからず認められています。新型コロナウイルスに感染しないように注意して健診(検診)を控えた結果、かえってがんや結核が悪化し手遅れになるとしたら、元も子もありません。

 

安心安全な健診(検診)

当センターの健診(検診)では、時間的・空間的距離を確保し、消毒・換気を徹底して行っていますので、これまで所内での感染は一例もありません。また、短時間で効率的に検査・診察を行うよう細心の注意を払い、安全な健診(検診)を受けて頂けるよう配慮しておりますのでどうぞご安心して健診(検診)を受けてください。

 

健診(検診)は「有要有益」です。決して「不要不急」ではありません。

 

(参考)5大がんの検診項目 

種類

検査項目

対象者

受診間隔

胃がん

問診、胃X線透視、

または胃内視鏡検査

50歳以上

2年に1回

肺がん

問診、胸部X線検査

40歳以上

毎年

大腸がん

問診、便潜血検査

40歳以上

毎年

乳がん

問診、マンモグラフィ

40歳以上

2年に1回

子宮頚がん

問診、視診、内診、細胞診

20歳以上

2年に1回

厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(一部改変)

 

宮崎所長