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2024年 04月 03日 BLOG

油断できない脂肪肝

〇脂肪肝とは

健診で肝機能異常があり、脂肪肝と判定されたことはありませんか。 脂肪肝とは肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。肝臓は糖や脂肪、アルコールなどを処理し、栄養素に変えて全身に送り出す働きをしていますが、糖や脂肪、アルコールなどが大量に送り込まれると処理できなくなり、脂肪として溜めこんでしまいます。

これまでは脂肪肝といえば、単に脂肪がたまっているだけで心配ないとされていましたが、近年脂肪肝の危険性が分かってきて、放置すべきではないとされています。

〇アルコールだけが脂肪肝の原因ではない

脂肪肝はアルコール多飲に起因するアルコール性と、非アルコール性とに分けられていました。脂肪肝といえば多くの方はアルコールが原因と考えておられますが、飲酒しない人でも脂肪肝になります。非アルコール性脂肪肝は、メタボリックシンドロームや肥満、糖尿病などの代謝異常が原因なので、昨年、日本肝臓学会は非アルコール性脂肪肝を「代謝異常関連脂肪肝」と呼び方を改めました。

〇脂肪肝は肝がんの始まり

アルコール性脂肪肝であっても、代謝異常関連脂肪肝であっても、放置すると脂肪肝炎になり、肝硬変、肝がんに移行することがわかってきました。

日本では肝がんはB型やC型などの肝炎ウイルスが原因とされていましたが、その予防が進み、効果的な治療薬が開発されたため、現在ではウイルス性肝炎から肝がんの発症は防げるようになりました。ところが、肥満の人が増えてきたため、代謝異常関連脂肪肝が増え、肝がんに移行するケースが増えてきました。

〇代謝異常関連脂肪肝は増えている

日本での脂肪肝の人の割合は男性で3人に一人 女性では5 、6人に一人位と言われています。特に肥満者に多く見られ、肥満とされるBMI 25では男性の約40%、女性の約20%が脂肪肝です。さらに肥満し、BMI30になると脂肪肝は男女とも約80%に増えます。特に内臓脂肪が増えている人、腹囲が基準値を越えている人は脂肪肝になりやすいので注意が必要です。

〇脂肪肝が疑われたら

肝機能検査でALT (GPT)が30以上であれば脂肪肝が疑われるので、肝臓学会では専門医の受診を勧めています。加えて肥満や糖尿病があれば代謝異常関連脂肪肝でしょう。健診結果の腹部エコー欄に脂肪肝と判定された場合、間違いなく過剰に脂肪がたまっているので、直ぐ治療が必要です。

〇脂肪肝の予防、治療

アルコール性であれば飲酒量を減らすことです。アルコール性とは、一日のアルコール量が男性では30g以上、女性で 20g以上飲酒の場合です。(注)

代謝異常関連脂肪肝では、肥満であれば減量、糖尿病であれば血糖低下を目指す生活習慣改善が必要です。当センター外来など専門外来を受診してください。

 

(注)アルコール量 20g:ビール中瓶1本、日本酒1合 

          30g:焼酎1合、ワイングラス2杯半

 

宮崎所長